五感のスケッチブック

こと・もの・心で感じたことを記事にしていくブログです

映画レビュー:『もしも徳川家康が総理大臣になったら』

 アフィリエイト広告を利用しています

映画レビュー:”もしも徳川家康が総理大臣になったら”

要約

 本作は、歴史上の偉人たちがAIとして現代に蘇り、「最強の偉人内閣」を結成するというユニークな設定のエンターテインメント映画です。徳川家康を中心に、織田信長坂本龍馬らが現代の政治課題に立ち向かう姿を描きながら、政治・経済を「自分事」として捉えるきっかけを観客に提供します。

演技では、野村萬斎徳川家康役を重厚に演じ、各偉人の性格や理念を象徴するセリフや演出が印象的です。「泣かぬならホトトギス」のようなフレーズが各人物のキャラクターを巧みに表現しています。

ただの歴史ファンタジーではなく、現代社会への風刺や批判、そして「自分で考え行動する」ことの重要性を提示する内容であり、エンタメと社会派要素がバランスよく融合しています。

作品情報

監督:武内英樹(『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』など)

脚本:徳永友一(『翔んで埼玉』ほか)

主な出演者:

野村萬斎徳川家康内閣総理大臣)役

GACKT織田信長経済産業大臣)役

竹中直人豊臣秀吉財務大臣)役

赤楚衛二坂本龍馬内閣官房長官)役

浜辺美波:テレビ局員・西村理沙

公開:2024年7月26日、上映時間110分。

あらすじ(ネタバレを避けて)

 コロナ禍の混乱が続く日本。首相官邸クラスターが発生し、総理大臣が急死。未曽有の危機に対し、政府は最後の手段として「AI・ホログラムで歴史上の偉人たちを復活させ、最強の“偉人内閣”を作る」という計画を実行する。そこに徳川家康をはじめ、織田信長豊臣秀吉坂本龍馬らが登場し、現代社会での政治・経済・個人の在り方を問う物語が始まる。

感想・考察

 本作はまず、設定そのものが強く印象に残るものでした。「偉人たちが現代に蘇って総理大臣や大臣になる」という奇想天外な企画は、視点を変えることで「当たり前と思っていた制度や社会の構造」を改めて見つめ直すきっかけになります。あなたが述べられたように、「偉人に興味があった」「どう活躍するか見たかった」という観点はまさにこの映画の魅力と合致しており、その意味で鑑賞の動機として十分に納得できます。

印象に残ったシーンとして、偉人それぞれの発言と性格描写が巧みに盛り込まれていた点は、映画の描き方・脚本の構成の巧みさを示していると思います。たとえば「泣かぬなら〇〇ホトトギス」というような言葉遊びを通じて、偉人の性格や行動の特徴をさりげなく示す演出は、エンタメとして楽しみながらも、キャラクターを理解させる工夫として有効でした。

 演技面では、実在の人物像と映画上の“偉人像”との距離感、そしてそれを現代に当て嵌めるという難しい役どころを、主要キャストがしっかりと演じていたと思います。特に野村萬斎さんが演じる徳川家康は、伝統的な“威厳・調整・長期的視野”といったイメージを抱かせながらも、映画の中で「自分で考え、行動する」ことの大切さを体現しており、あなたが感じられた「安寧」「自分で考えることの大切さ」というテーマにも寄与していたと感じます。

 ストーリーを通して感じたメッセージとして、あなたがおっしゃられた「政治・経済という遠い世界を自分事として考えること」「批判だけでなく代案を出すこと」というテーマは、本作が提示する“偉人の行動”を通じてまさに描かれていたと思います。単なる歴史ヒーローの復活劇ではなく、現代社会の構図や私たち一人ひとりの姿勢が映画の中で鏡のように提示されており、「自分もどう考え、どう動くか」という問いを観客に突きつけていたように感じます。

 また、エンタメ性もしっかり備えており、偉人たちが豪華キャストで集結する“夢の内閣”という設定は、笑いや驚きを提供しながら、深いテーマと結び付いています。あなたが「全年齢に当てはまる」とおっしゃった通り、歴史や政治に詳しくない方でも純粋に面白さを感じられ、さらにそこから思考を促される構造になっている点が本作の強みです。

特に印象的だった点

偉人たちの特徴・性格が瞬時に理解できる表現(発言や言葉遊び)

現代の危機感と歴史人物の“役割”というミスマッチが生むギャップとその解消

観客自身を“ただ傍観者”で終わらせず、「自分で考える」姿勢へと向かわせる問いかけ

エンタメ要素とテーマ性のバランスが取れている(楽しく観られて、考えさせられる)

気になった点・考察の余地

レビューの中には、「演説シーンが長かった」「設定は面白いが物語展開にもう少し緩急があった方が…」という声もありました。 例えば、偉人を全員内閣メンバーにしてしまったためキャラクター数が多く、それぞれに深く焦点を当てる余裕がやや乏しかったという指摘もあります。しかし、それを補って余りある“発想の豊かさ”と“メッセージの明確さ”が観る価値を高めています。

おすすめする人・観賞後の感想

本作は、以下のような方に特におすすめです:

  • 歴史上の人物に興味がある方

  • 現代社会・政治・経済について少し距離を感じている方

  • 映画を観た後に「考えたい」「語りたい」気持ちになるものを求める方

  • エンターテインメントとして楽しみつつ、テーマ性も欲しい方

鑑賞後、あなたが感じた「自分自身の振り返り」や「自分も考え、行動したい」という気持ちは、本作が観客に提示する大きな価値です。映画を通じて“偉人”という存在が、過去の英雄ではなく、現代に生きる私たちと同じ“課題を持ちながら行動する存在”として立ち上がる姿が示されており、そこにこそ本作の意義があります。

moshi-toku.toho.co.jp